ステロイドだけでは治らない?かゆみ止め内用薬を併用して湿疹を治す

湿疹・皮膚炎の症状の中で、最も辛いのが「かゆみ」でしょう。薬物療法で主に使用されるステロイド外用薬は、有効性と安全性が立証されている薬ですが、炎症を鎮めることはできてもかゆみを解消させることはできません。そのため、ステロイド外用薬だけの治療では、かゆみを我慢できずに患部を掻き壊し、湿疹を悪化させてしまうこともあります。その結果、湿疹が難治化して長期間にわたって苦しめられるようになります。

湿疹の治療では、ステロイド外用薬で炎症を抑えつつ、抗ヒスタミン薬でかゆみを抑え、湿疹の悪化を防ぐのが基本です。ここでは、湿疹の治療に用いられるかゆみ止め内用薬について解説します。

湿疹のかゆみ止め薬 抗ヒスタミン薬

湿疹の治療では、炎症に対してステロイド外用薬やタクロリムス軟膏、皮膚のバリア機能の低下に対しては保湿剤・保護剤、かゆみに対しては抗ヒスタミン剤、抗アレルギー薬を使用し、湿疹の悪化因子をできるだけ除去することが基本です。

抗ヒスタミン薬は、湿疹の症状を和らげ、かゆみを抑えることで掻き壊しによる湿疹の悪化を防ぐ役割を担っています。第一世代抗ヒスタミン薬には、強い眠気や倦怠感などの副作用があるため、仕事の都合上使用することが難しい場合があります。そこで開発されたのが、非鎮静性や軽度鎮静性の第二世代抗ヒスタミン薬です。

第二世代抗ヒスタミン薬を有する抗アレルギー薬が持つ作用は、補助的な効果を期待するものです。単独の使用で湿疹の炎症を抑えられるものではないため、ステロイド外用薬との併用が必要になります。

なぜ抗ヒスタミン薬は湿疹のかゆみに有効?

湿疹が起こると、皮膚にある肥満細胞から、かゆみを感じさせるヒスタミンやインターロイキン31、ロイコトリエンなど様々な物質が多量に分泌されます。すると、かゆみ神経にある受容体とヒスタミンが結合してかゆみが現れます。抗ヒスタミン薬を内服すると、ヒスタミンによるかゆみを抑えることができます。

抗ヒスタミン薬は、間欠投与法よりも連続投与法の方がかゆみを抑える効果が高いことが抗アレルギー薬の大規模調査によって判明しています。

※アレルギー薬の大規模調査
川島 眞,原田昭太郎:抗アレルギー薬を併用した標準的薬物療法がアトピー性皮膚炎患者の痒みとQuality of Life(QOL)に及ぼす影響に関する調査,臨皮,2006.

第一世代と第二世代抗ヒスタミン薬

抗ヒスタミン薬には、抗ヒスタミン作用のある第一世代抗ヒスタミン薬と、抗ヒスタミン作用がある抗アレルギー薬である第二世代抗ヒスタミン薬があります。市販薬のほとんどが第一世代抗ヒスタミン薬です。第一世代抗ヒスタミン薬は、血液脳関門という部分を通過して脳に達するため、強い眠気や口の渇きなどの副作用が起こります。また、緑内障前立腺肥大の悪化を招く恐れがあるため、使用には細心の注意が必要です。

第一世代抗ヒスタミン薬には、ハイスタミンやレスタミン、ペリアクチン、ベネンなどがあります。

第二世代抗ヒスタミン薬は、眠気や倦怠感などの副作用が発生しにくく、効率よくヒスタミンが結合する受容体をブロックできるため、湿疹に伴うかゆみを抑える薬の中で、日本皮膚科学会により第一選択薬として承認されています。第二世代抗ヒスタミン薬には、アレニル5mg、ザイザル5mg、ジルテック10mg、アレグラ30mgなどがあります。

湿疹のかゆみ止め薬:第二世代抗ヒスタミン薬

第二世代抗ヒスタミン薬は、その種類によって服用の方法や副作用が異なります。また、使用できる年齢も異なるので、安全に使用するためにも違いを把握しておきましょう。

アレニル5mg

オロパタジン塩酸塩が成分の抗ヒスタミン薬で、アレロックのジェネリック医薬品です。即効性が高いため、すぐにかゆみを抑えたいときに役立ちます。また、服用量を調節すれば、小児(2~7歳)でも服用が可能です。湿疹や皮膚炎、皮膚そう痒症、蕁麻疹、尋常性乾癬、多形滲出性紅斑など様々なアレルギー症状に適用できます。ヒスタミン以外の化学伝達物質による症状も抑える作用があるため、アレルギー症状に悩む人にとって心強い薬と言えます。

用法用量は、7歳~成人までは朝と就寝前の1日2回1錠ずつの服用です。2~7歳までの小児は、朝と就寝前の1日2回1錠を半分にしたものを服用します。

副作用は、眠気や倦怠感、口の代わり、ALT(GPT)上昇、AST(GOT)上昇などです。

ザイザル5mg

レボセチリジン塩酸塩が成分の抗ヒスタミン薬で、蕁麻疹や湿疹、皮膚炎、アレルギー症状に用いられます。用法用量は、成人で1日1回就寝前に5mgの服用で、最大10mgまで服用可能です。7~15歳までは、朝と就寝前の1日2回の服用で、1回あたり2.5mgまでです。なお、幼児は服用できないので注意しましょう。

副作用は、眠気や倦怠感、口の渇き、浮動性のめまい、頭痛などで、第一世代ヒスタミン薬よりも副作用は少ないです。

ジルテック10mg

セチリジン塩酸を成分とするヒスタミン薬で、湿疹や蕁麻疹、アレルギー性鼻炎などに使用されます。用法用量は、成人の場合1日1回10mgを就寝前に服用します。7~15歳までは、1回5mgを1日2回朝食後と就寝前に服用します。2歳~7歳までは、錠剤ではなくセチリジン塩酸塩ドライシロップ1.25%を投与します。

副作用は、眠気や倦怠感、口の渇き、浮動性のめまい、頭痛などで、こちらも第一世代ヒスタミン薬よりも副作用が少ないです。

アレグラ30mg

フェキソフェナジン塩酸塩を成分とする抗ヒスタミン薬で、湿疹や蕁麻疹、アレルギー性鼻炎に使用されます。特に、花粉症に使用されることが多いです。

用法用量は、成人と12歳以上の子供の場合で、1回2錠(60mg)を1日2回服用します。7~12歳までは、1回1錠(30mg)を1日2回服用します。

副作用は、頭痛や眠気、吐き気などで、口の渇きや眠気などの副作用が少ないため、長期間服用を続けても生活に支障が出にくく、日々アレルギー症状に悩まされている人にとっては心強い薬と言えます。

妊婦・赤ちゃん湿疹の場合は要注意!第二世代抗ヒスタミン薬の投与について

薬は腎臓で処理されますが、高齢者は腎機能が低下している場合が多く、成分の血中濃度が高い状態が持続する可能性があるため、まずは低用量から服用し始める必要があります。そして、異常が認められた場合には、量を減らすか服用を休むなど、安全を第一に考えて慎重に対処することが大切です。

妊婦や妊娠の可能性がある女性、授乳中の女性に対して使用する場合は、危険性に対して治療の有益性が上回る場合のみ使用します。これは、動物実験により、成分が胎盤を通じて胎児へと伝わるとの報告があるためです。また、母乳に成分が移行するとの報告もあります。

また、低出生体重児や新生児、乳児、2歳未満の幼児に対する抗ヒスタミン薬にの安全性は確立されていないため、基本的には投与しません。これは重大な副作用が起こるかどうかの以前に、国内において2歳未満の子供に対して使用された例が少ないためです。

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