アトピーは湿疹?アトピー性皮膚炎とは?

アトピー性皮膚炎は、湿疹を主症状とする病気の一つです。2007年度の皮膚科受診患者の多施設横断全国調査によると、アトピー性皮膚炎で受診した患者数は、0~5歳と21~25歳がピークで、46歳以上は全体の9.64%を占めています。このことから、アトピー性皮膚炎の患者の年齢層は幅広いことがわかります。ここでは、アトピー性皮膚炎のメカニズムをご紹介します。

アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎は、長期間にわたって皮膚の赤みや湿疹、かゆみなどの症状を繰り返し、慢性の経過をたどる皮膚炎です。皮膚のバリア機能の異常により、複数の刺激やアレルゲンによって炎症が引き起こされます。アトピー性皮膚炎そのものを完治させる方法はなく、対症療法で症状を和らげるに留まります。

アトピー性皮膚炎の原因、または症状の悪化を招く要因としては、環境と体質が挙げられます。遺伝子解析により、皮膚のバリア機能遺伝子や免疫関連遺伝子がアトピー性皮膚炎の発症に関与していることがわかっています。このような遺伝子の異常が両親から子供に遺伝することで、子供がアトピー性皮膚炎になりやすくなると考えられています。

皮膚のバリア機能が正常に働いている場合は、化学物質や微生物などの体内への侵入や体内の水分の蒸発を防いでくれます。アトピー性皮膚炎の方は皮膚のバリア機能が低下しているため、乾燥しやすくなります。皮膚が乾燥すると、外的刺激に弱くなり、細菌やウイルスに感染しやすくなります。

このような理由により、アトピー性皮膚炎の方は化学物質や洗剤、香粧品、アレルゲン、微生物など様々な物質の影響で湿疹ができやすくなります。適切な治療によって症状をコントロールすることで、完治まではいかないものの、症状が落ち着く場合があります。

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アトピーの一番の特徴はかゆみ

アトピー性皮膚炎の症状の中で大きな問題となるのが「かゆみ」です。勉強や仕事が手につかないほどのかゆみが繰り返し現れて、睡眠も妨げられてしまいます。このような生活の質の低下はストレスを招き、ストレスによってかゆみが悪化するという悪循環に陥ります。

また、入浴や布団をかぶるなどして身体が温まると、神経がかゆみを感じやすくなります。他のことに集中している場合にはかゆくならず、一息ついたときに急にかゆくなることが特徴です。就寝時に最もかゆみを感じやすくなる人が多い理由は、布団によって身体が温まると共に、眠りにつくときに緊張が解かれてしまうためと考えられます。

さらに、夏や冬に悪化することも特徴です。どの季節に悪化するのかには個人差があるため、まずは自分のアトピー性皮膚炎の特徴を知ることが大切です。冬にかゆみが強くなる理由は、肌の乾燥が強くなるためだと考えられます。夏は、発汗による刺激が原因でかゆみが強くなります。また、夏は細菌が繁殖しやすい温度と湿度であるため、細菌が原因で皮膚の炎症が悪化し、その結果耐えがたいかゆみに襲われるようになる場合もあります。

かゆみがあっても湿疹は掻き禁止です

かゆいところを掻くことで、一時的にかゆみを和らげられます。しかし、強く皮膚を掻くと、炎症を悪化させる物質やかゆみを感じる神経を刺激する物質が分泌されるため、ますます湿疹やかゆみが強くなります。また、ヒリヒリと痛むほどにまで強く掻くと、皮膚のバリア機能が低下して、アレルゲンが体内へと侵入しやすくなります。その結果、少しの刺激でかゆみが起こるようになります。

また、掻いたところの周辺の皮膚までもかゆくなり、傷口が拡がて湿疹が悪化するという問題もあります。目の周りを掻いた場合においては、白内障や網膜剥離など重大な病気を合併することもあるため注意が必要です。

したがって、できるだけ早くかゆみをコントロールすることが大切です。

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アトピーの合併症

アトピー性皮膚炎の人は、傷口を掻き壊すことで、単純ヘルペスウイルスや黄色ブドウ球菌、溶血性連鎖球菌などによる皮膚感染症を起こすことがあります。また、目の周りの湿疹を掻き壊したり叩いたりすることで、カポジ水痘様発疹症や眼症状などが起こる恐れがあります。

眼症状

アトピー性皮膚炎では、目の周りや額、髪の生え際など顔全体がかゆくなります。そのため、目をこすったり叩いたりすることで、様々な目の病気を合併することがあります。日本眼科医会によると、アトピー性皮膚炎の患者のうち、52.5%が眼瞼炎、39.5%が結膜炎、23.8%が白内障、11.6%が角膜上皮障害、2.1%が網膜剥離になるとしています。このうち、白内障と網膜剥離は視力が著しく低下したり、失明したりする場合がある重大な病気です。

眼瞼炎と結膜炎はアレルギーによって起こりますが、白内障と網膜剥離は叩くなどして起こるため、かゆみのコントロールが重要になります。アトピー性皮膚炎に伴う白内障は、10~20歳代に好発し、急速に失明へと進行して手術が必要となるケースも多いです。

アトピー性皮膚炎に合併する目の病気を防ぐために、かゆみをコントロールして目にダメージを与えないようにする必要があります。ただし、アトピー性皮膚炎の対症療法に使用されるステロイド外用剤は、緑内障の発症に関与しているため、十分に注意して使用しなければなりません。

カポジ水痘様発疹症

アトピー性皮膚炎によってできた傷口から黄色ブドウ球菌や溶血性連鎖球菌、ヘルペスウイルスや水いぼウイルスなどが感染すると、小水疱が発生します。ヘルペスウイルスに感染した場合には、口の周りなどに2~5mm程度の小水疱が現れますが、アトピー性皮膚炎ではない人は軽症で済むことが多いです。

しかし、アトピー性皮膚炎の人が感染すると、小水疱が顔や身体へと広範囲に拡大して重症になることがあります。これをカポジ水痘様発疹症といいます。リンパ節の腫れや痛み、発熱などの症状が現れます。予防のためには、傷口を掻き壊さないように、かゆみをコントロールする必要があります。

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